コラムトエ

兵庫県西宮市にある久我美術研究所から発信する美術に関する「コラムと絵」を載せていきます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

絵を描くのが上手くなる方法、その44

私の教室では水彩画のモチーフに花を時々使うけれども、経験を積んだ生徒もそうでない生徒も花の形をとるのには苦労している様子で、前回も書いたが、花は描いている間に変化してしまうから正確に写すのが難しい。写真を撮って利用するとよいのだが、その手…

絵を描くのが上手くなる方法、その43

花は見るのも描くのも楽しいと感じる人は多いと思う。それはやはり色彩が美しいからだろう。ラスキンの言葉・・・・ 「完全な五官と正常な気質をもつ人はすべて色彩を享楽する。色彩は、人間の永遠の満足とよろこびである」 本当にその通りだと思う。美しい…

絵を描くのが上手くなる方法、その42

静物画のなかでも花の絵は描いていて楽しいもので、私の教室ではモチーフに花をしばしば用意する。何年も教室に通っている生徒は、絵になるように上手に花を活けて描くのだけれども、習い始めて日が浅い人はちょっと苦労している。画面に花を上手に配置でき…

絵を描くのが上手くなる方法、その41

写実的に静物画を描くとして、複数のモチーフを選ぶ場合にそれらの物の色に注目して、何色の物と何色の物を組み合わせたら美しくなるだろうと想像して描き始めるとしたら、色の選択方法としては片手落ちといえる。というのも、物の色を何色かということ(色…

絵を描くのが上手くなる方法、その40

写実的に静物画を描くとして、複数の種類の物をモチーフとするとき、物と物の色の取り合わせは何に留意して決めればよいだろうか。今回は、モチーフにする物の色彩について考えてみたい。 例えば、レモンとサクランボを組み合わせて描こうと思うとき、サクラ…

絵を描くのが上手くなる方法、その39

この連載は、趣味で絵を描いている人の制作に役立つヒントとなるように考えて書いてきた。それで静物画についても、的確なアドバイスだと思ってもらえることを目標としたい。私の教室では静物をモチーフとすることがほとんどなので、日々生徒が静物画に取り…

絵を描くのが上手くなる方法、その38

上に掲載したのは、前回と同じポーラ美術館所蔵のセザンヌの作品。 この作品も前回掲載したものと同様に奇妙な絵で、テーブルが滑り台のように傾いているように見えるし、画面の左上の布からちょこっとのぞいている果物はテーブルからはみ出している。ポーラ…

絵を描くのが上手くなる方法、その37

静物画は人物画や風景画に比べて練習しやすい、テーブルの上に物を置いて描くだけだから・・・といって片付けてしまってもよいのだが、もっと詳しく静物画の魅力や上達法を考えてみたいと思う。 ところで、この連載は趣味で絵を描いている人、とくに私の教室…

絵を描くのが上手くなる方法、その36

人物画を練習することについて書いてきたけれども、モデルがいないので困る場合、雑誌や新聞の人物写真をスケッチするのも仕方によっては練習になると思う。さらに熱心に練習したいなら、やはりクロッキーをたくさん描くのがベストだ。昔の東京在住の画学生…

絵を描くのが上手くなる方法、その35

前回の付け足し・・・。ちょっと横道にそれる話ではあるが・・・。 書店の美術書の棚には人物の描き方に関するテキストがいろいろと並んでいるが、どうも近年のマンガやアニメやCGの隆盛と関係がありそうに思う。マンガやアニメ、ゲームのキャラクターなどの…

絵を描くのが上手くなる方法、その34

前回の続きを・・・。 趣味で絵を描いている人が人物画をある程度ものになるように練習したいと考えても、これまで述べてきたように難しい面があるのは否めないけれど、それだけ挑戦のし甲斐があるとも言えるから、人物画に興味があるならぜひ取り組んでみま…

絵を描くのが上手くなる方法、その33

前回は人物を写実でリアルに描くのなら、西洋の古典絵画が最高の手本となると述べた。そう書いたのは古典絵画を模写して練習するとよいという意味で、同じ絵が描けることを目標とするわけではない。古典絵画の人物画は理想像と考えるのがよい。古典絵画をそ…

絵を描くのが上手くなる方法、その32

趣味で絵を描いている人のなかで、人物画が上手くなりたいと思っている人は意外と多いのかも知れない。そして、その人物画は、ピカソが描いたようなデフォルメした人ではなく写実でリアルに描いたものだろう。今回は、そういう写実でリアルな人物画を描く場…

絵を描くのが上手くなる方法、その31

前回の続きを書こう。前回採り上げたアンナ・メイソン著「世界でいちばん美しい細密画」(日本文芸社)は、趣味で絵を描いていて、これから写真のようにリアルな描き方を練習していこうと思っている人には大変優れた参考書となるだろう。その理由は第一に、…

絵を描くのが上手くなる方法、その30

この連載は趣味で絵を描いている人、とくに私が主宰している教室の皆さんに参考となるようなことを書こうとして続けている。今回は、今まであまり触れてこなかった「写真みたいな絵」を練習していくことについて述べてみたい。 美術展を見に行くと、写実的な…

絵を描くのが上手くなる方法、その29

私が主宰している教室では、油絵よりも水彩画を描いている人が多い。そういう人たちの作品に日々接していると、水彩画を始めたばかりの人でも大変美しい色彩の絵を描き上げることがあって、私はけっこう感動している。作者の色彩感覚が優れているのはもちろ…