コラムトエ

兵庫県西宮市にある久我美術研究所から発信する美術に関する「コラムと絵」を載せていきます。

2011-01-01から1年間の記事一覧

ゴッホの手紙、5

ゴッホは、1888年2月21日から南フランスのアルルで暮し始める。それから間のない頃のテオへの手紙に、ゴーギャンのことに触れた箇所があり、「ここにゴーガンからの便りがある、15日間も病気で床についていたそうだ。借金がしつっこく付き纏って一…

ゴッホの手紙、4

1888年2月20日、ゴッホは突然、南フランスのアルルへと旅立つ。2月21日付けの弟テオへの手紙は、次のように始まっている。「旅行中、展開する新しい土地への関心とおなじく、ずうっと君のことを思いつづけた。おそらく君も時々ここへ来るようにな…

ゴッホの手紙、3

1886年の3月に弟のテオを頼ってパリに出てきたゴッホは、最初はテオのアパートに、その後はルピック街に住む。6月から3ヶ月間、コルモンのアトリエで学ぶ。印象派の影響を受けるようになり、点描法も試みる。1888年2月に、ロートレックの勧めに…

ゴッホの手紙、2

前回述べたような理由で、ゴッホの手紙を読み進めることを続けてみたい。テキストとしては、岩波文庫の「ゴッホの手紙(上・中・下)」を使う。訳者の硲伊之助(はざまいのすけ)は画家、初版は1955年。上巻は友人のベルナール宛のもの、中・下巻は弟の…

ゴッホの手紙、1

画家の人生を知らなくても、その画家の作品を鑑賞するのになんら支障はない訳で、画家がどのような人物であろうと、例えばカラヴァッジオのような殺人者であろうと作品がすべてである。画家の人となりを知ったがために、かえって作品を色眼鏡で見てしまう危…

辰野登恵子

画家たち、7BBプラザ美術館で、T氏コレクション展という小規模な展覧会が6〜8月に開催されていて、それの前期展を見たのだが、辰野登恵子の作品に接して結構感動した。辰野氏の作品は、私が学生の頃(かれこれ30年ほど前)から美術手帖などで紹介さ…

青山政吉展

画家たち、65月22日まで、西宮市大谷記念美術館で「青山政吉展」が開催されていた。青山政吉とは、どのような画家かというと・・・ 「大阪で料亭を営む家に生まれた青山政吉は、幼い頃より絵を好み、京都市絵画専門学校で日本画を学ぶかたわら、黒田重太…

ゴッホ展

画家たち、5この1ヶ月の間に、素晴らしい展覧会を二つ見た。京都国立近代美術館での「パウル・クレー展」と、名古屋市美術館での「ゴッホ展」である。このうちゴッホ展についてすこし書きたい。 ゴッホの作品は、今まで国内で開催されたいろんな展覧会で、…

中川一政

画家たち、4NHKラジオにラジオ深夜便という番組があり、2月17日(木)の深夜(つまり18日)の「わが心の人」というコーナーで、洋画家の中川一政に師事した小杉小二郎氏が、晩年の中川の思い出を語っていた。それによると、中川は元来、弟子をとらない…

丸木スマ

画家たち、3原爆の図で有名な画家丸木位里・俊夫妻の思い出を、画家の平松利昭氏が、1月20日(木)放送のNHKラジオ「ラジオ深夜便」で語っていた。そのなかで、次の話が面白い。平松氏は、丸木俊から「1年に1000枚デッサンしなさい」と言われたと…

麻生三郎展

画家たち、2掲載したのは、麻生三郎の「赤い空」(1956年、東京国立近代美術館蔵)。現在、京都国立近代美術館では「麻生三郎展」が開催されている。展覧会チラシの麻生三郎の紹介文を要約すると・・・ 麻生三郎(1913〜2000年)は、東京生まれ…

これから・・・開幕の辞

これからこのブログでは、主として、私が気になっている画家や彫刻家などについて、思いつくままに書いた短文と彼(彼女)らの作品を掲載していきます。 つまり、このブログの表題通り「コラムと絵」で構成されているわけです。書き手が気まぐれなので、更新…