コラムトエ

兵庫県西宮市にある久我美術研究所から発信する美術に関する「コラムと絵」を載せていきます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

絵を描くのが上手くなる方法、その129

前回に続けて、今回も印象派風に絵を描くことについての話。 前回の文頭で次のように述べた。 印象派風の絵が描きたい人は、習い始めの最初の段階だけ、ウォーミングアップのつもりで写実画を練習するのがよい。(中略)ウォーミングアップだから、「実際に…

絵を描くのが上手くなる方法、その128

少し間が空いたけれども前回の続きを書く。 印象派風の絵が描きたいと考えている人は、習い始めの最初の段階だけ、ウォーミングアップのつもりで写実画を練習するのがよい。それによって絵具の扱いに慣れて色の作り方や塗り方のテクニックを知ることができる…

絵を描くのが上手くなる方法、その127

前回の文末に「印象派風に描く話は次回も続けたい」と書いたが、「その120」から回を重ねるごとにいつの間にか印象派絵画の解説みたいになってきたので、話の方向を軌道修正して続けたい。もともとのテーマは「印象派のすすめ」だったはずで、「その12…

絵を描くのが上手くなる方法、その126

前回はモネのルーアン大聖堂を取り上げて、建築物のアウトラインは歪んで描いても変な絵にはならないという話をした。そして、「建築物以外でも、整ったラインで形を正確に描くと印象派風の絵にならないのかと問われそうだが」と文末に書いた。今回はその続…

絵を描くのが上手くなる方法、その125

今回も写真を見て風景画を描く話をするのだけれども、印象派風に描くなら多くの点でモネの作品が参考になるだろう。色彩につては前回に少し触れたので、今回は別の角度からモネの作品を見て参考にすべき点を考えたい。 上に掲載したのは、モネが描いたルーア…

絵を描くのが上手くなる方法、その124

前回の続き。印象派風の風景画を描く場合に、写真を見て描くのもよいだろう。本来、印象主義の画家たちと同じ絵を描くのなら、キャンバスや水彩紙やイーゼル等をかついで野外に出掛け現場で制作するの一択だ。しかし、印象派風の明るくきれいな色の絵を描き…

絵を描くのが上手くなる方法、その123

前回の続き。印象派風に描く場合は、あらかじめ色彩をどのように扱うかの心積もりがあるとよいだろう。というのは、見えるがままの、見えた通りの色をおけばよいだろうと考えていたとしても、「見えた通り」の解釈は一筋縄にはいかないのである。新鮮な眼で…

絵を描くのが上手くなる方法、その122

今回も、趣味で絵を描いている人の中で印象派の絵画がことのほか好きで、それが油絵や水彩画を始めたキッカケであるなら印象派風の絵を描きましょうという話を続ける。 前回、風景画を印象派風に描くときには、景色を見た瞬間に視線が引きつけられた箇所を画…

絵を描くのが上手くなる方法、その121

印象派の絵画が殊に好きで、そのような絵が描きたいと望んでいるならどう描けばよいかの話の続き。前回はモネの積みわらの作品を例に取り、対象と対面したときの第一印象を尊重して描くことに触れた。さらにこのことを説明したい。 静物でも風景でも対象全体…

絵を描くのが上手くなる方法、その120

印象派の絵画が並ぶ美術展があると大賑わいになるから、日本人に印象派は人気が高いと言えそうだ。実際、教室の生徒に好きな画家を尋ねるとモネやルノワールなど、印象派の画家を挙げる人は多い。ラファエロやフェルメールなど古典絵画の巨匠を挙げる人も時…

絵を描くのが上手くなる方法、その119

前回掲載したのはボナールのデッサンで、現在、絵画教室でデッサンの練習に励んでいる人はそのデッサンを見て、「これは写実的に描かれていないので今習っているデッサンとは別物に見えるけれども、このようなデッサンはどう考えればよいのだろう」と疑問に…

絵を描くのが上手くなる方法、その118

私の経験から言うと、絵画教室に通って習うつもりの初心者からの質問では、「デッサンから始めた方がよいですか」と聞かれることが多い。推測するに、どうやら世間一般に絵画の基礎はデッサンだから、そこから習い始めなくてはいけない・・・これが常識とし…