コラムトエ

兵庫県西宮市にある久我美術研究所から発信する美術に関する「コラムと絵」を載せていきます。

2012-01-01から1年間の記事一覧

ゴッホの手紙、11

前回は、第474信のテオへの手紙なかで、ゴッホが金銭面での負担を弟にかけることに気をつかっている箇所に触れた。次の第475信では、テオへ絵具の注文をしている。弟に負担をかけたくない思いのわりには大量の注文で、それだけ制作意欲を抑えがたいと…

ゴッホの手紙、10

前回は、「モーヴの追憶」と書き入れがある1888年の作品について、ゴッホがテオへの手紙(第472信)でふれていることを指摘した。手紙のなかで、この作品について、「今まで描いた風景の中ではおそらく一番いい出来だろう」と自信をのぞかせているの…

ゴッホの手紙、9

ゴッホに「花盛りの樹(モーヴの思い出)」という満開の桃の樹を描いた作品がある(上に掲載)。これは、1888年4月に描かれたものだが、この作品については、テオへの手紙の第472信で語られている。以下に引用する。 「耕されたライラック色の地面と…

ゴッホの手紙、8

前々回のコラムは1888年3月10日付けのゴッホの手紙について述べたが、その手紙は第468信で、次のテオ宛の手紙の第469信では、ゴッホの傑作「アルルの跳ね橋」について触れられている。 その部分は以下・・・「仕事に関しては、今日15号の画布…

ゴッホの手紙、7

このコラムを書くにあたってテキストとして参照しているのは、岩波文庫の「ゴッホの手紙(上・中・下)」であり、これに採り上げられている弟テオへの手紙は、1886年3月の日付がある第459信から後のものである。ところで、みすず書房から1969年…

ゴッホの手紙、6

ゴッホからテオへの1888年3月10日付けの手紙は、「手紙と同封の100フラン札を有難う」と書き出されている。ゴッホはその手紙の中で、画家の互助を目的とした組合についての構想を熱心に述べている。その部分を抜き出してみよう。「売れた絵の代金…