コラムトエ

兵庫県西宮市にある久我美術研究所から発信する美術に関する「コラムと絵」を載せていきます。

絵を描くのが上手くなる方法、その73

f:id:gaina1995:20210305183709j:plain

 

今回も前回に続き、好きな画家を見つける際に手がかりを与えてくれそうな画家を挙げてみる。手がかりになるというのは、つまり、彼らに興味を持ったなら、その画家の仲間、グループの画家を当たってみると好きな画家が見つかるかも知れない。今回は、風景画を描きたい人の参考になるように選んでみた。以前にも書いたが、私の教室では写実からさほど離れないで描いている人がほとんどであるから、そのような人を念頭に置いている。写実から離れないといっても様々な絵があって、印象派の画家の中に具体例を見ることができる。例えば、アルフレッド・シスレーはモネに比べると、かなり写実的な作品が多い。上に掲載したのは、シスレーが描いた「サン・マメス6月の朝」(アーティゾン美術館所蔵)。こういう作品をかなり写実的というのに反対する人もいるだろうが、とりあえず「写実である」としておく、そうでないと話が進まないから。

この作品は印象派の画法で描かれているわけだが、その画法の特徴を分かりやすく書くとすればどうなるか、作品解説にちょうどよい説明がある。「(前略)画面全体が穏やかな光で包まれていることの多いシスレーにしては珍しく、この作品では明暗の対比がなされ、それによって奥行きが強調されています。人々が行き交う並木道は、影で暗くなっています。青色で影が表現されていますが、これは印象派の作品の特徴のひとつです。印象派の画家たちは影の中にも色彩があることを指摘し、自らの作品でそのことを実践したのです。また、作品全体に筆あとを見ることができるのも、彼らの特徴です」こう具体例が述べられている。他のシスレーの作品は以下で・・・

https://www.youtube.com/watch?v=N4ZoCHq7gkQ

 シスレーは、風景画を描きたい人にはいろんな点で参考にできる画家だろう。それでも、もっと写実性の高い作品の方が好みであるなら、こういう画家もいる。写実主義デンマークの風景画家、ペーダー・モルク・モンステッド(1859-1941年)。以下で作品をたくさん見ることができる。

 https://www.youtube.com/watch?v=AEecAlFqLdQ

ここまで細かい絵は好きでないなあという人には、私が好きな風景画家、イサーク・レヴィタン(1860-1900年)を紹介しよう。以下で作品をたっぷり見て欲しい。

https://www.youtube.com/watch?v=h3-WUZi-0hU

レヴィタンの作品は、細密に描写しているようで実はそうでもない。画像をじっくり見るとよく分かる。また、モチーフは殺風景な景色が多いが、見ているとだんだんと心にしみてくる絵だ。余談ながら、美しい絵よりも心にしみる絵を描きたいものだと私は常々考えている。

風景画に取り組むなら空を描けないと話にならないだろう。空の描き方の手本なら、「空の王者」と呼ばれたウジェーヌ・ブーダン(1824-1898年)がいる。

https://www.youtube.com/watch?v=m0KnOYw4JvE

 次回も風景画家を紹介していこうと思う。