前回に続いて好きな画家を見つけるをテーマにして書いていこう。好きな画家の作品は自分の絵の道での手本になるし、折にふれて勇気を与えてくれもする。今回も好きな風景画家を見つける端緒となるような画家を紹介してみよう。
さて、前回までは写実で風景画を描いている19世紀後半から20世紀前半に活躍した画家を採り上げた。つまり印象派と同時代で、その影響を受けた画家達である。それまでの風景画よりも色彩が豊かで明るい画面だから、親しみやすい絵だと感じる人が多そうで、好きな画家を見つけるのには適当な時代ではないだろうか。それでも、もっと古い時代の風景画が好みの人もいるだろうから、印象派の登場よりも少し前の画家も挙げておきたい。
まずはオランダの画家、ヨハン・ヨンキント(1819-1891年)。海景や水辺の景色の絵が多い。下記で油彩やスケッチ風の水彩画が多数見られる。
https://www.youtube.com/watch?v=N26lNztYYkQ
メジャーな画家は紹介しないつもりだったのだが、ジョン・コンスタブル(1776-1837年)には注目したい。コンスタブルは、「この広大な世界に同じ日は二度となく、同じ時間も二度とない。そして天地創造以来、一本の樹に同じ二枚の葉はない」と断言して、同じ風景を何回となく描きながら、そのたびに新しい魅力を見出していたという。風景を写実で描くなら、この心境にならないとダメなんじゃないかと思わず考え込んでしまった。
次に紹介するのは、同時代の同じくイギリス人画家、リチャード・パークス・ボニントン(1802-1828年)。結核に倒れ若くして亡くなったけれども、上に掲載した作品が水彩画の名手であったことを如実に示している。1824年にはフランスのサロンで、ジョン・コンスタブル、コプリー・フィールディングとともに金賞を受賞している。彼の作品は以下で・・・
https://www.youtube.com/watch?v=vv9yWEhDhaE
最後に、オランダの写実主義の画家アントン・モーヴを挙げる。モーヴの作品はとてもオーソドックスで、保守的な感じがする。以下がその作品・・・
https://www.youtube.com/watch?v=XUrzG-oTmkE
モーヴで興味深いのは、ゴッホの義理の従兄弟にあたり、一時期はゴッホに油彩や水彩画の手ほどきをしたという点だ。モーヴにゴッホはずっと敬意を持ち続けたようで、モーヴが亡くなったときには、「花咲く桃の木(モーヴの思い出)」と題する作品を描いている。
もう少し風景画家を紹介したいので、次回も続きを。